食積

 

年末から年始にかけて行事が続き、ついつい食べ過ぎたり飲み過ぎたり、また外食も増えてしまいがちなこの時期。

なんとなく体調がすぐれず食欲がわかない・ちょっと食べるとすぐにお腹が張る・鈍痛・呑酸・胸やけ・便秘や下痢・食べたいという気持ちにならないけれど食べだすと結構な量を食べてしまう、等。 このような症状を感じていませんか。

 

胃腸の働きは、中医学では脾胃の機能に含まれます。脾胃は飲食物の栄養を吸収し運化する主な器官です。もし食べ過ぎたり、あるいは脂っこいもの、甘い物、味の濃いもの、辛いもの、さらにお酒、生もの、果物を過食すると、直接脾胃を損傷してしまいます。

 

脂っこいものは熱を生じ、甘いものは中を塞ぐ作用があるので過度に摂取すると、胃腸を塞いで脾胃の昇降機能に影響するので嘔吐や下痢などの症状が現れます。また飲酒は少量であれば気血を通行して消化を助け、風寒を防御する働きがあります。しかし過ぎてしまうと脾胃を損傷するので内湿や内熱の状態をつくり出したり、湿熱を盛んにしてしまうので、食欲不振や胸苦しさ、お腹の痞えた感じ、また湿が上向きに動くと目眩や嘔吐を生じます。その上に辛いものを食べると益々内熱を煽ることになります。

生ものや冷たいもの、また果物を食べ過ぎたり冷たい飲み物を摂りすぎると脾胃の陽気を損傷し昇降の気機が阻害されるので冷痛みや下痢などの原因になります。

 

正常な飲食物の消化・吸収が損なわれると、気血を生産する資源がなくなるので気血の衰弱・減少になります。それは正気の不足につながるため外邪の侵入に対し抵抗できなくなります。したがって、暴飲暴食による脾胃の損傷は流行性の疾患を受けやすくなる原因の一つとなってしまいます。

 

さて、上記のような暴飲暴食や多食など運化能力をこえた飲食物の摂取であったり、元々脾胃が虚弱であるために生じたりで起こる食物の停滞を“食積(しょくしゃく)”と表現します。

“食積”に対して消化を助ける生薬には神麹・麦芽・鶏内金・山査子・莱菔子などがあります。その中の麦芽・山査子・神麹の三味を配したものを『焦三仙(しょうさんせん)』と言います。それぞれの生薬を炒焦して用いることで、より消化に働くとされています。

麦芽;オオムギを発芽させたもみの乾燥品

消食の効能をもち、米・麺・薯・芋などでんぷん質の積滞に適する。兼ねて健脾和胃にはたらきます。

山査子;サンザシの成熟果実を乾燥させたもので、甘酸っぱくお菓子としても食されています。

脂っぽいものや肉類の消化促進に適しています。血流の改善にも働きコレステロールや中性脂肪の数値を下げるはたらきがあります。

神麹;小麦粉・麩(ふすま)・青蒿・蒼茸子・赤小豆・杏仁の粉末を混ぜて発酵させたもの。

酒の分解を促し、穀類の消化に適しています。腐臭のあるゲップや厭食に用います。

 

『焦三仙』はお茶のように飲めるタイプのものもあります。ちょっと食べ過ぎたなぁ、と感じた時に早めに対応したいものです。

 

1月15日は小正月、京都では小豆粥を食べて無病息災を祈るとのこと。松の内に多忙を極めた女性の休息日でもあったそうです。

赤小豆は余分な水分を取り除く働きによって、浮腫や尿量減少の改善、また湿熱を利する作用があります。

七草粥に続き赤小豆粥で今一度“食積”を消し去りましょう。

 

薬剤師 林あかね

 

 
 
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