漢方の特徴

 

二十四節気の立秋を過ぎ、暦の上では秋になりました。

日中は相変わらず暑いものの、朝晩に涼しい風が吹くことが増えて、
少しずつ秋に向かって季節が移りつつあるのを感じます。

これまで春夏秋冬、それぞれの季節の養生とその時期に起こりやすい症状、その対策等について書いてきましたが、
ひと通り季節を一巡しましたので、今回は漢方と西洋医学(現代医学)の違いに焦点をあててみたいと思います。

西洋医学では二人の大人が風邪をひいて同じ病院に行くと、同じ風邪薬を処方される場合が殆どです。
これはどういうことかというと、西洋医学では同じ疾患であれば、同じ治療薬が使われるということです。
筋骨隆々の男性であっても華奢な女性でも、同じ治療薬が出されるのです。

一方、漢方では、同じ疾患の人が何人かいたとしても、個々の体質に合わせて、それぞれ異なる漢方薬が処方されます。
これを「
同病異治(どうびょういち)」と言います。これは表にあらわれている症状が同じであっても、個人個人の
体質(漢方では「証(しょう)」といいます)に応じて治療をするので、結果として異なる処方になるということです。
例えば、同じような症状の風邪であっても、体質により「麻黄湯」を処方される人がいれば、「麻黄附子細辛湯」を
処方される人や「香蘇散」を処方される人もいるというわけです。

また、漢方では「同病異治」と反対で、症状の異なる疾患に対し、同じ処方で治療することがあり、
これを「
異病同治(いびょうどうち)」と言います。例えば、「加味逍遥散」は月経不順や更年期障害などの婦人病に
よく使われる処方で、女性特有の漢方薬のように思われがちですが、ストレスによる不眠や不安感などの精神神経症状
のある男性に処方されることもあります。症状が違っても、その成因や原因となる体質が似通っていれば同じ処方で
対応できるということです。

西洋医学が症状を抑えることを主たる目的とした対症療法であるのに対し、漢方は個人の体質を診ることに重きをおき、
症状を含めた全体像を診て、病気の原因にアプローチしようとする治療法と言えます。

これだけを取り上げて、西洋医学よりも漢方の方が優れているということではありません。
緊急を要するような疾患は西洋医学でないと処置できない場合もありますし、検査値に出てこないような不定愁訴などは
漢方の得意分野になります。

漢方というと、作用が穏やかな反面、効き目が弱いといったイメージを持つ人も多いようですが、即効性のあるものも
多くあります。
漢方のことをもっと知ってもらって、興味を持つ人が増えてくれればいいなと思っています。

薬剤師 近藤尚美

 

 
 
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